美しく、儚い。線香花火のような恋
“何ひとつ忘れない”恋愛映画
ざっくりあらすじ

1983年の北イタリアのどこかで、17歳のエリオは家族と共に一夏を過ごしていた。大学教授である父は、毎年この別荘にアシスタントとして博士学生を1人招いている。今年はオリヴァーという青年だった。自信に溢れて知性も備え、女性にも人気のあるオリヴァーを、最初は嫌厭していたエリオだが、次第に彼に惹かれていく自分に気づく。そんな2人を中心に描かれる、6週間の物語。
本作は、アンドレ・アシマンの著書『Call Me By Your Name』を原作としていますが、その原作の半分くらいまでのお話だそう。
17歳のエリオ役は〈ティモシー・シャラメ〉。
1995年生まれ、ニューヨーク育ちのティモシーは、本作が初主演映画。さらに、本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
とんでもない美少年。そして演技力も素晴らしかった〜…。本作のために、ピアノ・ギター・イタリア語を習得したそう。「ベイビー・ドライバー」の主役、アンセル・エルゴードとは仲のいい同級生なんです。
6月公開の「レディ・バード」にも出演するので要チェックです!
オリヴァー役は〈アーミー・ハマー〉。
1986年生まれで、石油王の血を引く194センチという高身長のアーミー・ハマー。
「ソーシャル・ネットワーク」で双子を演じ、トロント映画批評家協会賞で助演男優賞を受賞。そのほかにも「J.エドガー」「ローン・レンジャー」などに出演。
本作の、どこか掴めない雰囲気を持つオリヴァーを見事に演じきっていました。きどった演技も、情熱的な演技もかっこよかった。
ちなみにダンスシーンの撮影時は音楽がなく、指パッチンのリズムだけで曲が流れているようにダンスしなければならなかったそうです笑 ちょっとぎこちないダンスもみどころですね。

感想(ネタバレなし)
私はしっとりとした映画をあまり観ないので、本作も観ようかどうか正直悩んでいました。
SNSで、絶賛している人が本当に多くて。半信半疑だったけど「そんなに良いなら…」ということで映画館へ。
結論から言うと、観てよかった。本当に。
むしろ、観ていなかった時の自分とは一体…?という感じ。
正直、言葉で表すことがとっても難しい。表せる言葉がない。この映画に見合うような言葉が見つからない。
ただもう、ひたすらに美しくて、切ないんです。
それは、どこを切り取っても映えるイタリアの風景もそうだし(というか魅せ方がとんでもなく巧い)、音楽だってそう。そしてやっぱり、主人公を取り巻く愛がとにかく優しくて、美しくて、儚い。
同性愛とかいう言葉で片付けられないよ……。惹かれた相手は男性だった。ただそれだけだ。
ぜひ映画館で観るか、家でイヤホンやヘッドホンしながら観て欲しい。浸って欲しい。
完全に超絶おすすめする映画です。(語彙力!)
夜中に酔っ払ってくるくる回るシーンがかわいくて大好きです。
感想(ネタバレあり)
観終わった後しばらく脚の鳥肌が止まらなかった。
とんでもない映画を観た…と思いました。今まで観てきた映画はなんだったのか??と思ってしまうほど。別次元だった。

観客を引き込む演出
感情移入度が半端じゃなかった、と私は思いました。
気づくと、誰もがエリオの立場にたっている!って感じ。
「あの男はどんなひとなんだろう?」からはじまって、「自分のことを好きなのか、無関心なのか、わからない」というモヤモヤまで、エリオと共有している自分がいました。
さらに、ところどころに現れる引きの映像。
彼らが過ごしている環境を、説明的ではなく自然に映し出されることで、さらに物語に引き込まれていきました。
だからこそ、最後までどっぷりと世界に浸って観ることができたし、最後エリオと同じように泣いたし、この映画を一生忘れないと思った。
優しさに包まれていた
主人公を取り巻く人物・環境、全てが柔らかくて優しかった。
やっぱりお母さんとお父さんはすごい。断定もせず、本人に直接問うこともせず、2人を引き離そうともせず、静かに見守るなんて、なかなかできっこない。
でも、息子が傷ついた時には、最大限言葉を選んでサポートする姿。このお父さん本当に頭いいんだな…私は自分の子供にこんなこと言えるだろうか…って思ってしまった。本当にこのシーンは素敵だった。
不安を取り除くため、現実逃避のために身体を重ねた女の子、マルシアも…。最初から最後まで良い子だった…。
小さな仕草がリアル
あと、特に気になったのは仕草。
主人公のティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの演技がもう、自然過ぎて。
洋服の裾を引っ張るところとか、歩き方にしたって、見つめ方一つだって、全部リアルだった。
飲み物をちょっと勢いよく飲んだり、タバコを咥える回数がやたら多くなったり、涙を堪える時の顔の動きとか、
小さな仕草や行動から垣間見えるエリオとオリヴァーの感情は、演技ではないのでは?と思うくらい。
2回目観る機会があれば、もっと細かいところも観たいな。
箇条書き感想
あとは箇条書きにさせていただきます。あふれんばかりの感想がでてくるので…笑
- ベストカップルだった。特に、最後2人きりで泊まる夜がやばかった。
全身で喜びを表現している2人の気持ちがわかり過ぎて、このシーンめちゃくちゃ好き。
(山登ってるところとか、夜に酔っ払って騒ぐところとか) - 音楽がとにかくよかった。
切ないストーリーなのに、力強くて軽やかで、悲しい恋物語として残さないようにしているのかな。Mystery of Loveがとにかくよい……。 - 何と言っても最後のお父さんの言葉。
あそこは涙なしでは観れない。全てのセリフを文字に起こして大切に保管したい。あのシーンだけでも、つらくなったときに見返したい。誰かの心を必ず救ってくれているシーンだと思う。 - 私も北イタリアに住みたくなった。携帯も持たずに田舎で暮らしたくなった…。家族とお昼も夕飯も一緒に食べてさ…、ふらっと街に出たり、川で泳いだり。理想の生活…笑
続編も制作されるらしいですが、正直これで終わって欲しい…!泣
続編は1990年のアメリカが舞台で、エイズに関する話もあるそうです。
公開されるのが楽しみなような、そうでないような…!笑